「…やだ、何でッ!?
私ッ、今月
3kgダイエットに
成功したばっかりなのにッ」
ハシゴが壊れたのを
自分の体重のせいだと
思い込み
相当のショックを
受けているらしかった
少女に
「このハシゴッ
元々、腐れかけていてッ」
フォローのコトバを
掛けるのは簡単だったけど。
そんなコトを言ったら
自分の置かれている状況の
恐ろしさに
パニックを起こすのは
目に見えていて。
だけど。
「あれ、もしかして
あの手に握っているのは…」
折り畳み傘!
ハシゴにしがみつきながらも
落とすことなく
しっかりと
少女の手の中に
握られていて。
…あの折り畳み傘を
どこかに引っ掛けて
ハシゴを壁に
引き寄せられないかな。
発想はよかったけれど。
いかんせん
薄暗闇の中
少女の周りの壁が
どんな状態なのか
確認しづらい。