「両手が両壁に届けばッ」

壁と壁の間を

両手両足を使って
降りるコトも
出来るんだけど。


真っ暗な中

壁を探るようにして
上半身を反った途端ッ


メキ。


「…嫌な音ッ」


今の音は
何の音なのかッ。

結論を出してしまうのも
はばかれるくらい

今の私は
追い込まれていてッ。


「…動かない方が
いいのかな」


でも

このまま
ここでこうしていたって

誰が私のコトを
見つけてくれると
言うのか…。


ただひとつ
ハッキリしているのは

このハシゴは

オンナノコ達が
通ってきた

駅への
通過ポイントでは
ないであろうコト、だけだ。


「……」


ハシゴの8割方は
登り終えている。


この寿命の怪し過ぎる
ハシゴの上で
レスキューされるのを
待ち続けるより

「いっそのコト
一番上まで
登りきってみるかな…」


腐れた鉄の棒に
出来るだけ
負担を掛けないように


「右足を出し終える前に
左足を出すッ」

くらいの気持ちで
イッキに掛け登るッ!!!


「よッ、はッ、とおッッ!」