自分の身軽さに
我ながら感心しながら

何とか
一番上の横穴に
潜り込めた!


…トコロまでは
よかったけれど。


「ッッ!!!!!」

バスケ部の男子なら
ちょっと身を屈めないと
アタマがついてしまいそうな
低い天井のその空間は

思わず
鼻を摘まんでしまう程の
カビ臭さが充満していて。


暗闇の中
手探りで壁を探るのも

いろんな意味で
勇気がいるッ。


「……」

ヒンヤリとした
その手触りは

おそらくコンクリート
なんだろう。


慎重に
壁を伝い歩きするけれど

出口があるどころか
完全な行き止まりッ。


…不自然な空間。

防空壕の名残りだとか
言ってたけど


「まさか
秘密の軍事施設とか
ゆ〜んじゃ
ないんだろうなッ」


暗闇にも
随分
目が慣れてきたハズなのに

視覚よりも
聴覚やら臭覚の方が
敏感になっていて。


ゴゴゴゴゴ。


「……」

さっきから

音なのか揺れなのか
判別できないような

低い地響きを
カラダに感じている。


「電車の通る音にしては
延々に続きすぎだよね…」