普段のテストでも
これくらいの洞察力を持って
臨んでいれば

もっといい成績を
残せているだろう、と

セイがこの場にいたら

思い切り
ツッコミが入ってきそうだ。


「トーコのくせに」

セイの
そんな意地悪な
フレーズさえも

聴きたくなって
しまうなんて。


私は
自分が思っている以上に
不安感を持ってしまって
いるらしかった。


「…ここから
安全に降りる術は
ないかなあ」

地面にしっかりと
上半身をつけ

這いつくばるようにして
ハシゴの回りを覗き込んだ。


「……」

まるで現実感のない
コンクリート張りの世界。

灯りに照らされている
マンホール型のドアが

不思議な空気感を
演出していて。


過去の世界から
誰かがタイムスリップでも
してきそうだ。


「あれ?」


ハシゴを登っているときは
上ばかり気にして見てたから

気がつかなかったけど。


冷静に辺りを
見渡してみると


ハシゴを登るとき
私が背中にしていた壁側の
コンクリートの所々から

石ころが顔を出している。


「…ロッククラミングの
練習場みたいだな」


しかもッ!

「あれに見えるは
滑車じゃないか〜ッッ♪」