本気ッ♂030


ガガガガガ、と
耳障りな音を立てながら

ローラースケートで
石の通路をひた走る!


水を含んで
重くなったスカートが
ひるがえり

通り抜ける風が
濡れたカラダを
冷たく刺激して

ぷるるるッ!

思わず
身震いしてしまった。


「温かいお風呂に
入りたいぞおおおお〜」

おおきな声を出して

震えを誤魔化して
みたりしてッ。


「事情を知らないヒトが
この私の姿を見たら

何だと思うだろうな…」


ずぶ濡れのコートには
苔がついていて。


鼻血こそ
出なかったけれど

顔面を強打しているし。


鼻水の噛み過ぎで
鼻なんか真っ赤になって
いるんだろうな。


これ以上
汚くなりようがない、って
くらいの
汚れっぷりが

かえって
私を開き直らせるッ。


「臭わないだけ
マシだもんねッ」


私が一日中
パジャマでいたりすると

「オンナとして
終わってるな」

口癖みたく言ってくる
セイが

私のこんな姿を見たら
何て言うだろう。


「……」

想像するのも
腹立たしいけどッ。


「他人のフリなんかしたら
絶交してやるからねッ」


あのまま駅で
素直に次の電車を
待っていれば

もう少しマシな姿で

とっくにセイの元に
掛けつけているであろう
時間だった。