「早く交代して欲しいと
言わんばかりの目で私を見て

セイちゃんが
焦らせたりするからだよッ」


いいトコロを見せようとして

弟のセイの前で
派手に転んでしまって

悔しいやら
恥ずかしいやら、で

ついついセイに
責任転嫁してしまう
自分がいて。


「タイツに
穴まで空いちゃって!

またママに
怒られるじゃないッ」


べそをかいていた私の横で

ビリビリリッ!

「セイが自分のタイツを
爪で引っ掻いて
破り出したときは

正直ビックリしたけれど」


真っ直ぐなうるんだ目で
私を見上げながら


「僕のタイツ方が
トーコちゃんのより
穴もおおきいし

穴の数も多いからッ」

叱られるのは
自分の方だ、って

セイは
言いたかったんだろうけど。


自分よりちいさなセイに

情けを
掛けられてるんだ、って
思ったら

なお一層
悔しくなってきて。


「セイちゃんなんてッ
セイちゃんなんてッ!!!」


バシバシ、バシバシ。

セイのコトを
泣きながら
叩いてしまっていた。


だけど


「トーコッ
止めなさいッッ!」


間の悪いコトに

ママにその暴力シーンを
目撃されて。