真正面の壁にあるのは
マンホールのような
おおきくて丸い鉄製のドア。
「ステップがなくて
取っ手がついてなきゃ
とてもじゃないけど
ドアには見えないけれど」
【非常用】とドアに
ペンキで縦書きされていて。
防空壕の跡だとか
言ってたから
その名残りなのか。
「もしかしたら
食糧とか水とかの
備蓄倉庫だったのかも
しれないな」
そのマンホールみたいな
ドアの横
右手側の壁には
鉄製のハシゴが
ふたまわり程高くなっている
天井の近くまで
延々と続いている。
「横穴にでも
続いているのかな…」
ここからだと
よく様子がわからない。
ただでさえ薄暗い通路。
壁につけられていた
電球の灯りは
天井まで届かずにいて。