まさかそんな風にして

逃げ出そうとしていたなんて
思いもよらなかったんだ

って

少女は続けたかったのかも
しれない。


だけど。

少女は言い掛けたコトバを
飲み込んで。


ぶつけたいコトバの代わりに
大粒の涙を

ポロポロ、と

またこぼした。


「もう!
そうやってすぐに泣くッ!」


「ウザいから止めなよね!」


「今度、泣いたら
一緒にお弁当
食べてやんないから!」


「そうよ!
教室移動もひとりで
行動しなさいよね!」


…何か。

雲行きが外の天候並みに
大荒れしてて。


助け船を出すのは
やぶさかでは
なかったけれど。


もし、ここで
この子の味方をして
勝ったとしても

学校で嫌な目に遭わされたら
意味はない。


友達はもっと選ぼう、とか

そんな友達なんて
自分から
切って捨てなさい、って

オトナは
言うかもしれないけれど。


学校の教室なんて
逃げたくても
逃げようのない閉鎖的空間に

敵対している人間がいる。

それだけで
十分以上に地獄だと思う。


私も昔

セイと一緒に暮らすのが
気まずかったとき

パパやママがいたのに

逃げ場がなくて
本当に苦しかった。


「……」

ここは何とか上手く和解して

以後、学校では
フェードアウトするように
遠巻きにする

そんな
いい手段は無いモノか。


だけど。