「好きな男子が
こんなモノを
大事にしている、って

泣きながら
あんな写真見せられちゃ

誰だって
力になってあげたいと
思うじゃない!?」


…カノンくんが大事に
隠し持っていた写真、って。


「もう、いい!
行こうよ!

雨も酷くなってきたから
ぐずぐずしてたら
帰れなくなっちゃうよ」


仲間のひとりが

持っていたカサを
トントン、と
床に打ちつけて

みんなを歩くよう促した。


気になるひと言を残して

オンナノコ達は
少女の汚れたお尻を
濡れたカサで
突っつきながら

4人で
私と少女が来た道を
進んでいった。


「……」

カノンくんが
隠し持っていた写真って

もしかして
もしかして

私の写真、とか?


「…ごくんッ」

駅でばら撒かれていた
あの写真って。


「もしかして…」


私は
カノンくんの実家の島で
執り行われていたお葬式で

参列者と一緒に撮った
集合写真を思い出した。


「…お葬式の
記録写真だったから」

すんごいマジメな顔で
映ってしまってる、と思って

写真の仕上がりは
見てなかったけど。


「……」

だけどそんなモノ。

どうしてカノンくんが
ケータイなんかに。


「…あれ?」

だけどカノンくん。

ケータイなんか
持ってたんだ?