本気ッ♂015
「セイが
意地悪なコトばっかり
言ったりしたりするからッ」
あんなに饒舌だった
カノンくんが
貝のように口とココロを
閉ざしてしまったッ。
乗り替えの駅のホーム。
私とセイの後ろを
つかず離れず
視線を遠くに飛ばした
カノンくんが
重い足取りでついてくる。
「どうするつもりッ!?
こうなったのも
セイのせいだからねッ」
私に寄り添ってくるセイの
わき腹にパンチを入れたッ。
「…季節外れの蚊でも
止まったかな」
セイってばッ
私の言うコトだけでなく
私のパンチまでをも
軽んじてッ。
「くぬおおおおおおお」
私はセイに
必殺の回し蹴りを
お見舞いするッ
もッ!
くるん!
私の蹴りが空を切って
1回転したかと思ったら
ひょいっと
セイにカカトを掴まれてッ
そのままカカトを
屋根に向かって
持ち上げられたッ!
「今日はまともなパンツを
穿いているじゃないか」
「!!!!!!」
何をするのかッ!
この悪魔ッッッッ!!!!
片足で踏ん張った途端
濡れた床に足を取られて
転びそうになるッ。
「おっと!」
カラダを反転させた私を
セイが
小動物でも扱うように
私の肩甲骨の辺りを掴んで
床すれすれ
既のトコロで
レスキューした。
「ほおおおおおお」
危うく泥だらけになる
トコロだったッ。