「……」
「……」

雨が降る。

どんどん、どんどん
降ってくるッ。


沈黙のふたりの
心象風景のように

雨露の派手な横線が

窓ガラスをの向こうの
視界を遮っていく。


「…カノンのコトは
カノンに任せていればいい」


「!?」

穏やかなトーンの
セイの声に

思わず私は顔をあげる。


「お前をこれ以上
巻き込みたくなかった
アイツの心情を

黙って汲んでやれ」


「…セイッ」

カノンくんの行動を
セイが
そんな風に解釈していて


カノンに任せていればいい
なんてッ


それは
カノンくんに対する
セイの評価の高さの証、と

受け取っても
いいんだよねッ!?


じい〜〜〜んッ。

セイの思慮深さに触れて

思わず
私の目頭も熱くなったッ。


そうなのだ。

クールで打算的に見えても

お腹の底は
ピュアでやさしい

やっぱり
私の自慢のセイ
なのでしたッッ!!!


ああッ!

世界中のみんなに

ココに居る素敵なヒトは
私のいいヒトだと
自慢したいッッ。


したかったのにッ!!!!!


「カノンの浮いた話に
トーコが首を突っ込んで

ウチのマンションの
水道管まで破裂させられたら
堪ったモンじゃないからな」

なんてッ!


「何よッ、それッ!!!!」


「オンナの逆恨みって
コワイからな」

水道管破裂くらいで
済めばいいけれど、って

セイが私に
自分のキレイな顔を
近づけてきたッ。


「……」