本気ッ♂013
「……」
私の問い掛けに
カノンくんは
答えようとはしない。
だけど。
カノンくんが
ふくふく少女と
顔見知りであるコトは
その不自然なくらいの
無表情な様子から
充分に推測できた。
男子校。
しかも
寮生活のカノンくんが
自分と同い年くらいの
これまた
女子校のオンナノコと
どういう接点があると
言うのか。
好奇心のまま
訊き出したいのは
ヤマヤマだった、けど。
「どうせ、ブスなんだろうな」
自分の美しさに
充分過ぎるくらい自覚のある
セイが
カノンくんのコトを
冷静な顔で
小バカにしているのを
見ていると
何だか猛烈に
カノンくんの味方をしたく
なってくるッ。
確かに
セイの想像通り
ふくふく少女は
いわゆる絶世の美少女では
ないけれどッ。
「ふっくら、やわらか。
見てるこっちが
しあわせになるような…」
「…蒸し立ての肉まん
みたいだな」
「!!!」
セイの恐ろしいツッコミに
ベッドの上でお腹を抱えて
笑い出したのは
ちょっと前まで
私に急所を掴まれて
悶絶していたカノンくん
そのヒトでッ。
「……」
笑われているのは
ふくふく少女の容姿であって
私ではないハズなのに。
美少年ふたりに
自分の容姿まで
笑われているような
気がするのは
日頃の自分の
容姿へのコンプレックスの
せいなのか。
「…そんな
笑い者にしなくても
いいじゃない」