セイなんか
会ったコトもないクセに
何を根拠に
肉まん、なんて失礼な
表現をするんだろう。
「トーコを陥れようとする
下衆なオンナに
肉まんなんて表現すら
勿体ないか!」
え。
「これだけ迷惑掛けられて
よくもまあ庇おうなんて
思えるよな」
セイが私から
ケータイを取り上げて
落書きの画像を
私の目の前に突きつける…。
セイの発言の真意。
「…だって…ッ!」
コトバに詰まる私を
からかうように
「好きなオトコノコが
年上の魅惑的な女性と
急接近、なんて
そりゃあ
誰だってココロ穏やかでは
いられないと思うしッ」
セイが私の口調を真似た。
「…ムカつくッ」
私の反応に
セイが楽しそうに笑っててッ。
「憎みたい、否定したい。
なのに
実際、会ってみたら
カノンくんが
想いを寄せるだけある
カッコイイ先輩でッ」
…調子に乗って
どこまでも
仮想トーコを演じきるッ。
「おねえさまと慕いたいッ。
だけど、憎い恋敵ッ。
幼い少女を悩ませる
複雑に絡み合う
若い感情ッ」
「……」
…くやしいけどッ。
それは私の脳内を
実に見事に再現していてッ。
「だとしたら
何だとゆ〜のよッ!」
そう開き直るコトしか出来ない
自分が哀しいッ。
「お前の”上から目線”的
ココロの広さが
余計な憎しみを買ってしまう
要因になってるってコトを
少しは自覚しろ、って話!」
エラそうにッ。