「どさくさに紛れて
枕についたトーコのニオイを
堪能しようなんて
恐ろしいヤツだッ!」
無体にも
苦しむカノンくんの腰を
ゲイン、ゲインと
セイが足の裏で蹴りつけてッ。
「私の枕は臭う程
臭くなんてありませんッ」
セイの背中から
しがみつくようにして
その行為を止めようとする
私の手を
セイがしっかと
力づくで掴んで
自分の鼻っつらに
持っていった。
「…臭い。
トーコの指
カノンのアソコの
臭いがするぞ」
セイが
眉間にシワを寄せながら
私の手から顔を背けッ。
「…バッカじゃないのッッ」
小学生の子供みたいな
恥ずかしい発言をするセイに
私の顔の方が赤くなるッ。
「臭うんだから
仕方ないだろッ」
ムッカああああああッ。
「セイは
カノンくんのアソコのニオイを
嗅いだコトが
あるとでも言うのッ!?」
…それは
単なる売りコトバに
買いコトバ、だった。
「……」
「……」
だったのにッ!!!
どうして
私のセリフの後で
ふたりとも
意味ありげに
この場の空気を
止めてしまうのかッ。
「…どうして知ってるか
そんなに知りたいか?」
ぷるぷるぷるッ。
セイの申し出に
私は無言で
首を横に振るッ。
「教えてやろうか」
ぷるぷるぷるッ。
セイの
妖しいまでに美しい顔が
私の顔に近づいてきたッ。