ベッドサイドに
うずくまっていた
カノンくんに近寄ると
タランチュラのような
セイの長い5本の指が
まだアドケナイ
カノンくんの短く刈り上げた
首筋を捉えて。
「見ろよ!」
カノンくんの顔を
私のケータイの画面に
近づけるッ。
「セイ!?」
「……」
「やっぱり、カノン
お前が
カンケイしているんだな」
ケータイの画面を見て
僅かに眉を動かした
カノンくんを
セイは見逃さなかった。
まさか、まさか、まさか!
ナンノちゃんッ。
「私のケータイ、返してッ」
アナタはもしや
カノンくんと私の
今朝の目撃談を
メールに
書いてきているのでは
ないですよねッ。
セイの手から取り返した
ケータイの送受信記録を
私は急いで確認するッ。
【トーコ。
今、どこにいるの?】
【どうして?】
「あれッ」
【年下の情熱的な彼】の
くだりは
どうやらセイが
私をからかっていただけ
だったらしいッ。
「ほおおおおおおッ」
私は安堵に
おおきく胸を撫で下ろした。
だけど。
その後に続く
【女子新体操部の
部室が荒らされて
大騒ぎになってるのよ】
ナンノの返信に
「何、これ…」
私は我が目を疑ってしまう。