…セイも気づいていたんだ。
カノンくんが
学生の頃のセイと
同じ靴を愛用しているの。
セイのコトだから
俺のマネっこするな、とか
気づいていたのなら
意地悪を言いそうな
モノなのに。
…そんなセイが
ちょっと意外だ。
「…もっとも!
こんな短絡的で
衝動的な嫌がらせ。
犯人は
かなり幼稚で
アタマの悪いヤツ
だろうからな」
セイが何かを言いたげに
私の方に視線を向けるッッ。
犯人は
かなり幼稚で
アタマの悪いヤツ。
あのもしや?
「…ごくりッ」
セイがあんまり私の顔を
じっと見つめ続けていたり
するモノだからッ
「私ッ
犯人じゃないからねッ!!」
真っ先に
自分が疑われたのかと
思ってしまったッ。
「…当たり前だッ」、
セイが
信じられないヤツだ、と
言わんばかりに
切ない溜息を洩らすのを見て
ベッドの上
天井を仰ぎ見ていた
カノンくんが苦笑する。
「セイが紛らわしい犯人像を
語るからでしょッ!!」
ああッ
穴があったら入りたいッ。
「一体、誰がこんなコト…!」
って
私の疑問よりも
ひと足早く
セイが
カノンくんの胸ポケットから
ピンクの封筒を抜き取った!
「恋の恨みを買うのって
ホント怖いよな」
「…まさか」
あの可愛い
フクフクホッペの
あの子が…!!!!?
「…私に
裏切られたと思い込んで
こんなバカなコトを…?」
私のウッカリが
あの可愛い子を
そこまで追いつめてしまって
いたなんて…!