「私のせいだ」
「カノンのせいだろ?」
ううん。
「あのオンナノコから
貰った手紙を
私が自分でちゃんと
管理できなかったから…!」
はッ。
「…なるほどね。
それで話が繋がった」
気がつくと私は
セイの前で
あの手紙は
オンナノコから
自分が貰ったモノだと
自ら白状していて…。
「この手紙のコトを
トーコは自分宛の
ラブレターか何かだと
勘違いしているようだが」
セイが
ピンクの封筒の中から
便箋を取り出し
私に広げて見せる。
「ほら、この距離から
この便箋を
もう一度よく見てみろよ」
私の肩を長い指で
ちょこん、と軽やかに
後ろに押し出して
便箋から私を遠ざけた。
「…陽気なおねえさまへ?」
「その下にも
字が書いてあるだろう?」
「その下、って…」
そこには
真っ赤なハートが
ただ散りばめてあるだけで。
「…う〜ん…」
あぶり出しか何かなのかッ。
赤いハートの先入観に
囚われている私を見かねて
「…シネシネ、と
ハートで模っているんですよ」
カノンくんが
ベッドに寝そべったまま
クールに答えを吐き捨てる。
「…シネシネ?」
「フツー
【陽気なおねえさま】って
書かれている段階で
悪意に気づきそうな
モノなんだけどな」
「でもッ!
陽気な、って
褒めコトバじゃないッ」
私には
ヒネたココロの持ち主が
無理やり
【シネシネ】と読めると
こじつけているようにしか
思えませんッ。