本気ッ♂011


「どうしたのかな?

お返事の仕方を
忘れちゃったのかな?」


セイが私の耳元に

ふうう、と
息を吹き掛けてくるッ。


「……」

「答えたくないのか。
それとも答えられないのか」

どっちなのかな〜、って

私のアゴを長い指で
ちょこんと摘まんで

「カラダに訊いてみても
いいんだけど」

ささやいたかと思ったら

「ッ!!!」

セイが
私の耳を噛んだッ!


「拾ったのよッ!

破れてたから
直してみただけッ」

後ろから
思いっきり体重を掛けられて
学習机の上に突っ伏しながら

懸命に
言い逃れしようとする私に


「誰を庇ってるの?」

セイの声のトーンが
ますます低くなるッ。


「庇ってないしッ!」

「ふうううううん」

「ホントだもんッ!」

「……」

「……」

尋問の次は
無言のプレッシャー攻撃でッ。


セイの顔が
すぐ私の顔の横にあるのを
感じながら

私は「ごくんッ」と
息を飲んだッ。


きめ細やかな
陶器のようなセイの肌。


その極上の触れ心地に

手紙のコトなど
アタマから飛んでいって
しまいそうになる。


噛まれた耳が
ジンジンしているのは

その痛さのせいなのか
はたまた興奮のせいなのか

自分でもわからない。


「…あのね、セイッ」

「…カノンに何かカンケイが
あるんじゃないのか?」


「ど、どうしてッ」

セイが知っているのッ、って
ノドまで出掛かったッ。