「今日、一緒だったんじゃ
ないのかな〜、って」

「…どどどどどうしてッ」

そんな発想にッ!?

「お前の顔に書いてあるから」

「えッッッ!?」


私は
机の上の鏡に手を伸ばして
自分の顔を確認するッ。


「…何にも
書いてないじゃないッ」

鏡を覗き込む私の姿に

ククク、とセイが
笑いを堪えていてッ!


「…カマ掛けたんだッ」

「やっぱり
そうだったんだ?」


「……」

”卑怯者”という文字が

鏡越しに映るセイの背後に
おおきく見えますッ。


「なのに。

時間差で出掛けて
バラバラに
帰ってくるなんてさ」


それは
カノンの入れ知恵か?、って

セイが
私から鏡を取り上げた。


「……」

これ以上
セイの誘導尋問に
引っ掛かってなるものかッ。


私が自分の口を貝にして
沈黙をひたすら守っていると


「ダンマリ、ね。

まあいい。
カノンに訊けば済むコトだ」


セイはピンクの封筒を咥え
自分の髪を櫛毛しながら

私の部屋のドアノブに
手を掛けるッ。


「カノンくんに
訊くってッ!!!」

とんでもないッ。

カノンくんなんて
何を考えているのか
全く分からないのにッ。


「…案外簡単に
口を開いたな」


セイがドアを
半開きにしたまま

こちらに
妖しい瞳を向けてきた。


「その手紙ッ!
持ち主に返さなきゃ
いけないしッ!!!」


「…持ち主って
この手紙を書いたヤツ?」

それとも
この手紙を貰ったヤツの
コトなのか、って

当惑する私を弄ぶのを
楽しむかのように

セイが
手紙をまたぴらぴらしてッ。