こういう
したたかなウソを
しらっと
ついてしまうトコロなんか

まさにセイそのものでッ

…性質が悪いッ。


まるで
自分を見ているみたいな
カノンくんの言うコトを

セイはどこまで
信じるだろうか。


「…赤いハートに込められた
メッセージも

お前の仕業だと言うんだな?」


”仕業”。

それは恋するオトコの
嫉妬からくる
表現なのでしょうかッ。


「…それは聴かぬが花ですよ」

それは
どういう意味なのかッッ。


もしかして
今、アナタは

私のコトが好きだから、と

セイに宣戦布告を
したのでしょうかッッ。


純粋な恋ゆえに
自分の気持ちを抑えきれない
若者のその衝動ッ。


わかるけど
嬉しいけど

とってもとっても
困りますッッッ!!!!!


耳まで赤くなる私と
対照的に

カノンくんは
表情ひとつ変えずに
セイを往なして。


その場を立ち去ろうとする
カノンくんに

「…その白い学ラン。

ずいぶんトーコの学校で
目立ってたらしいじゃない?」

セイが
納得がいかないとばかりに
絡んできたッ。


「白い学ランなんて
見間違えじゃないのかなあ」

ここはすっとぼけて

とにかく
ふたりを引き離そうと
間に割り入った私に

「シンスケさんが
俺が昔着ていた制服を
見間違うワケないだろう?」


なんてッ!

「…シンスケですかッ」


かのヒトを
いつもの調子で適当に
あしらってしまったコトを

私は猛烈に後悔したッ。