「セイに
いっしょに探して貰おうと
何度か声を掛けたんだけど」
部屋にカギを掛けて
セイは爆睡していて
返事がなくて、ってッ。
「あ」
ほおおおおおおお。
紙一重。
大惨事にならずに
済んだようでッ。
思わず胸を撫で下ろすッ。
しかも
ママの度重なるSOSにも
姿を現さないなんて
かなりの熟睡ぶりとみたッ。
こんなラッキーなコトは
ないッ。
「手紙なら私が持ってるから」
「えッ」
「だから、セイには
絶対に言わないでね」
ママに再度念を押して
自分の部屋のドアを
閉めようとしたのにッ。
「ママ、必死で
探してたんだからねッ」
ママが
私の行為を阻止したッ。
「……」
悪いのは
ママに大事な手紙を
預けたままにしていた
私だ、って
わかってはいる。
それでも
やっぱり
責任転嫁せずにはいられない
自分がいたから。
「ママは手紙をどこに
置きっ放しにしていたか
覚えてないの?」
なんて。
我ながら
意地悪な言い方だと思った。
「エプロンのポケットに
入れて置いたまま
出した覚えは
ないんだけど」
「そのエプロンを
どこに脱ぎ散らかして
いたのやらッ」
「エプロンはちゃんと
ママが入れた脱衣カゴの中に
入ってたわ」
「…え」
”洗濯モノ”という
キーワードに
昨日の脱衣場での
騒動がまざまざと甦る…。