本気ッ♂009
…ごっくんッ!
私の息を飲む音が
目の前のカノンくんに
聴こえたのか。
それとも
聴こえなかったのかッ。
「これ
さっきのオンナノコから
貰ったんですか?」
視線を遥か彼方に
流しながら
カノンくんは
自分の胸ポケットから
ピンクの”ソレ”を出しながら
溜息をついていてッ。
「……」
こういう場合ッ
私は一体
どういうリアクションをすれば
いいのでしょうかッ。
幼さの残る
その指先に挟まれた
ピンク色したの罪な封筒ッ。
無残にも
二つ折りされてしまったのは
嫉妬のなせる業なのかッ。
「…カノンくん。
それッ。
誰が開封したのかなッ」
私はカノンくんの顔色を
窺いながら
コトバを選ぶ。
「僕ですけど」
何か文句ありますか、って
言いたげな
そのおおきな目がコワイッ。
「私宛の手紙なんだから
勝手に…」
なんて常識が通る人間なら
最初から
ヒトの手紙を開封したりは
しないだろうッ。
「僕はトーコさんの質問に
答えましたよ」
次はトーコさんが
答える番です、と
言われてもッ。
「あはッ?」
今は笑って
誤魔化すしかないッ。
「どうして
答えを濁すんです?」
「あ、あのね、カノンくんッ」
「あのオンナを庇ってる
つもりなんですか?」
「……」
”あのオンナ”ッ。
…アナタが
そんな風に呼んでしまう
そのピンクのレターの差出人の
ふくふくホッペのオンナノコを
アナタは一体どうしようと
言うのでしょうかッ。