一緒に来た友達かな。
それとも
お母さんなのかな。
それにしても
何か雰囲気がおかしいぞ。
「もしかして
立ち入り禁止の場所に
入ろうとして
先生に掴まって
お説教されているのかもッ」
体育科のオサムさんかッ。
はたまた現代国語の
ウルサガタのタマル女史かッ。
高校教諭のヘビーな洗礼は
ウブな中学生には
まだ早すぎますッッッ!!!
「どどどどどうしようッ」
助けてあげたいのは
やまやまだけどッ。
こっちも今
取り込み中でッ。
しかもッ
教室の中の先生と
目が合ったりしてッッッ。
「……」
背筋を伸ばして
シャンとしてッ。
背中に冷や汗をかきながら
先生に目でお愛想を
送るけどッ。
教室のドアが開いて
「反省したか?」
先生が廊下の私に
話し掛けてくるッ。
「ただでさえ
勉強が遅れているんだ。
もういいだろう」
席に戻りなさい、って
寛大なお情けを
今戴いても
ありがたくはありませんッ。
「あのッ、先生ッ!」
「何だ?」
「トイレに行ってきても
いいですかッ」
「……」
先生の返事を待たずに
もうその足は
廊下を駆けていたッ。
「…そこまで
我慢するコトはなかったのに」
先生のつぶやきも
耳に入らず
私は大急ぎで
階段を駆け降りるッ。
階段の踊り場から
ふくふくホッペの少女の
まあるい背中が
すぐに確認できたのだけど。
「あの…!」
助け船を出そうとして
少女の横にいた人物の姿に
私は思わず息を飲んだ。