本気ッ♂007
「…カ、カカカノンくんッ?」
これは、いわゆる
待ち伏せ、とゆ〜モノでは
ないのでしょうかッ。
動揺を隠せない私を尻目に
「トーコさん!」
私の腕を掴んで
「電車がきますよ!
急ぎましょう!」
私を呼び止めた本人が
早く改札口を通るよう
急かしていてッ。
「あ、あのッ!?」
カノンくんが
私の腕を掴んだまま
駅のホームに掛けられた
袴線橋の階段を
掛け登ろうとするッ。
私の学校へは
確かに袴線橋を渡った
向かい側のホームだけど
「カノンくんの学校へ行くには
今いたホームでいいんだよ!」
私はカノンくんの手を
振り解いたッ。
昔、セイが通っていた
中等部の学び舎。
セイと一緒に家を出て
この袴線橋の下で
中学生だったセイの
やたらでっかい目に
見送られていたのを
昨日のコトのように思い出す。
セイが高校生になって
いつしか一緒に
学校に行くコトも
なくなっていたけれど。
「このホームに停まる電車なら
どれに乗っても大丈夫だから」
ひと駅乗ったら
そこから
直通のバスが出ていて。
「バスもこの時間なら
たくさん出ているハズだから」
当時、セイに教えて貰った
中等部への行き方を
乗り過ごすワケにはいかない
自分の電車を気にしながら
私はカノンくんに説明した。
なのにッ。
「トーコさんの学校は
乗り換えがあるんですよね」
私の自己犠牲の親切心を
軽〜くスルーして
カノンくんが
私の後を追って
階段を駆け上がってきてッ!
「トーコさんの学校
興味あるんですよね」
「え?」