「カノンくんッ。
自分の学校は?」

「自分の知らない
いろんな文化を持つ高校を
見学するのも
いい経験だから、って先生が」


「……」

学校公認の
冷やかしですかッ。


「トーコさんの学校の運動部
どこも強豪揃いだから

練習とか見学できるの
楽しみです」


え?


「トーコさんの新体操部も
見学者が押し寄せて
今大変なんじゃないですか?」


「…まあ、そこそこ」

「楽しみです」


ってッ。


「……」

…もしかして

カノンくんはッ


私のッ

私のキュートだと評判の
レオタード姿が目的でッッ!?


「……」

嫌な予感が

背中をヒンヤリと
冷やしてゆくッ。


青少年の純粋な
身近な性への興味ッ。


「トーコさん?」

がばッ。

私は思わず
自分の着ていたコートの前を
閉じたッ。


「言っておくけどッ。
新体操部ってみんな普段は
Tシャツにジャージでッ…」


この無垢なる青少年に
私が釘を刺そうとするのを

またしても
空気を読めない車内放送が
邪魔をするッッ!!!