「あ、この電車
特急だったんだ。

次の駅で
乗り換えですよね?」


カノンくんが目で
車内の路線図を確認した後

ガタン、ゴトン、と

のどかな音を立てる
車両の揺れに
カラダをまかせてるようにして

ドアにもたれ掛かりながら

静かに窓の外に
視線を放ったのも

一瞬で。


「…ウチの高等部なんか

運動場は広いし
設備も揃ってるのに

どの運動部も弱くって」


他の学校の運動部にも
全く相手にされてないから

「トーコさんの学校みたいに
交流試合とか合同合宿とか
憧れますよ」


…なんて。

謙遜してるのかな?


「…セイのいた馬術部なんて
全国大会の常連校だし」


「お金の掛る部活ですから。

馬術部がある高校自体が
珍しいですから」


そ、そうだったんだッ。


「…セイ先輩は
カッコよかったですけどね」


私のココロを読んだように

カノンくんが
セイのコトをフォローして。


「大会にこそ
1度もエントリー
しなかったですけれど

中等部の頃から
馬術部の中でも
すっごく目立ってましたから」


「……」

何か、すっごい違和感。


セイのコト

カノンくんはあんまり
よく思ってないのかとばかり
感じてたから…。


「トーコさんも
セイ先輩のああいうトコロに
惹かれてるのかな、って

ちょっと悔しいかな」


え。