「僕も少しは
トーコさんに振り向いて
貰えるよう

部活、頑張って
みようかな、なんて」


はい?


「ふふ」

はい?


…カノンくんッ。


意味深な
私にむけられている
その笑顔は
何でしょおおおおおおお。


以前、セイといっしょに
訪ねた
カノンくんの実家では

あんなに
私に冷たかったのにッ。


もしかしてッ。


いなくなって初めて

どれだけ私が
素敵なオンナノコだったのか

アナタはとうとう
気づいてしまったとでも
言うのでしょうかッ!


「……」

いかんッ!

意識しすぎて
こっちの顔が火照ってきたッ。


「カカカカ、カノンくんはッ
何の部活をやってるの?」


私は自分の赤い顔を
誤魔化すように
うつむいて

話題転換を図るッ。


…カノンくんの茶色の皮靴。

昔、セイが気に入って
履いていたヤツと
同じ金具がついている。


「何だと思います?」

「……」

私がカノンくんに
興味を持った、と
思ってしまったのかッ。


カノンくんは
楽しそうに会話を続けていて。


「ヒント。

日本古来の
神聖な武術のひとつです」