…そうなのだ。

私の中のカノンくんは

小生意気な目で
ヒトを見下している

やっぱりそんなイメージで。


「僕がやってるのは

新体操ではなく
弓道ですから」

カノンくんが
ナンノに向かって
弓を引くマネをした。


「狙った的を射る為に
この一瞬に全てを集中する!」


そう言いながら
カノンくんの指先が

ナンノから私に向けられて。

「……」

まるでそこだけ
時間が止まったかのように

賑やかなホームの音が
私のアタマの中から
消え去ってゆく。


行き交うヒトの流れが
まるでカノンくんの
”気”のごとく
こちらに押し寄せてきて

「あッ」

カノンくんの放つ矢が
こちらに向かって
飛んでくるような

「!!!」


そんな錯覚に私は陥った。


「…アホらしッ!

中学生のゴッコ遊びになんか
構ってる時間が勿体ないわ!」


そうタンカを切るナンノに

カバンを
引っ張られる私の後を

「トーコさんッ!」

カノンくんが
かわいい子犬のように
追い掛けてくる。



だけど。

 
この子犬の本当の目的を

このときの私が
もし気づいていたら

恐らく、絶対に

追い返していたに
違いなかっただろう…。





熱愛ラッシュ!

本気ッ♂007

≪〜完〜≫


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