本気ッ♂006


…全身脱毛ッ。


「やっぱりトーコは
期待通りのおバカだったか」


よく研がれたシザーを手に

セイの目が
爛々と輝いていてッ。


「ツルツルのトーコを
抱くのが楽しみだ」


「まさか髪の毛もッ!?」


「当たり前だ。

上も下も剃らずに
何が全身脱毛だ」


鈍く銀色に輝く
尖ったシザーに

セイがふううッ、っと
息を吹き掛けるッ。


「…あははははッ」


ご冗談でしょッッッ!!!


「あ。だけど
トーコの眉毛だけは
俺のお気に入りだから」

今回は特別に見逃してやる

ってッ。

その配慮自体

もはや
嫌がらせとしか
思えませんッッッ!!!!


「ちゃんと約束を守って
お風呂は5分で
出たじゃないッ!!!」


セイを振り切って
必死で逃げ伸びようとする
私の腕を

誰かが掴んでッ!


「トーコさん」

「カノンくんッ!?」


「大丈夫ですよ。

僕に身を任せて

リラックスして
足を開いてください…」


って…!

もしもしもしッ!?


「泡立ちのいい石鹸も
ありますから

トーコさんが望むのなら
カミソリも用意しますよ」


「カミソリなんか邪道だ。

ハサミの方が
断然、楽しいぞッ!」


どっちも楽しくなんか
ありませんッッッ!!!


シャカ、シャカ、シャカ。

狭い洗面所で
華麗に音を響かせながら

カノンくんがお行儀よく

化粧ブラシで
生クリームのような細かい泡を
石鹸で立てている横で


「悪いようにはしないから」


その長い舌で
長い刃を舐めながら

セイが
私のバスタオルに
手を掛けるッ!