「…昨夜だってさ。

風呂上りのお前を
迎えに行ったのに

さっさと
ひとり風呂から上がって

無防備な
寝相をさらしてて、さ」


風呂上り
ふたりでもう少し
楽しみたかったのに、って


セイが

机の上にあった
私のハサミに
手を伸ばすッ!!!!!!!


セイは無言のまま

パツン、パツン、と

その長い指に
引っ掛けるようにして

私のパジャマの
パンツのゴムを弾きながら


自分が剥がした
ハサミのデコの名残りを
じっと見つめていてッ。


「…全身脱毛するなんて
セイが私を脅すからッ!

あの後、シャワーだけ浴びて
速攻で出たんだからッ」


パツン、パッ。

セイは

私の言い訳など
聴く必要などない、と
言わんとばかりに

私のパジャマのゴムを
弾き続けているけれどッ。


「母さんも言ってたけど

ホント、このハサミってば
切れ味悪いったらないよな」


パッ、パッ、パツンッ。


…まさか。


「こんなハサミで
キレイに仕上がるとは

お前自身も
期待してはいなかったかとは
思うが…」


まさかッ!

まさか、まさか、まさか
まさかああああああああ!!!


自分の思惑通りに
いかないと

すぐに仕返しを考える
自制の利かない
このオトコッッ。


【全身脱毛】


嫌な4文字熟語が

夢の続きとばかりに
アタマに浮かびますッ。


「…何かトーコの匂いがする」

なんて言いながら

セイがハサミの刃を
ペロン、と舐めるッッッ!!


「!!!!」

セイの思わせぶりな言い方に

私は堪らず

パジャマの中
自分の下着に手を突っ込んで
ソレの有無を確かめたッ!!!