「げッ!、もうこんな時間ッ」
「早く用意しろよ」
「…おかしいな。
目覚まし、自分で
止めちゃったのかなッ!?」
壊れちゃってたら
どうしよう。
「ねえ、セイ?、…あれ?」
目覚ましが壊れていないか
私が確認している合間に
いつの間にか
セイの姿が消えていた。
「何か嫌な予感がするッ」
時間だから、って
”あの”セイが
いやにあっさりと
私の部屋を出ていくなんてッ。
「…セイが
またカノンくんに
インネンでもつけて
絡んでなきゃ
いいけれどッ」
私は速攻で身支度を整えて
セイとカノンくんが
いるであろう
リビングに急いだ。
のにッ。
「あれ?」
イヤに静かなリビングには
小指を立てて
コーヒーを優雅に味わう
セイの姿があるだけで。
「カノンくんは?」
キッチンで
洗いモノをしていたママに
私はそっと声を掛けてみる。
「パパといっしょに
ちょっと前に家を出たわよ」
えッ。
「だってカノンくん。
ウチに来るとき
車で来てたでしょ?」
ママが言うには
駅への行き方を知らない
カノンくんは
パパの出社の時刻に合わせて
いっしょに家を出たらしい。
「トーコが
さっさと起きてくれれば
トーコに
駅まで一緒に行ってあげて、と
頼めたんだけど」
「……」
ど〜りでッ。
変だと思ったッ。