セットしていたハズの
私の目覚まし時計は

やはりセイの手によって
止められていてッ。


パパの出社の時刻を
見計らってから

セイは私の部屋を出た、と
ゆ〜ワケですかッ。


ちいさいッ。

人間がちいさ過ぎるぞ
セイッ。


「ほら、トーコも
早く食べないと

遅刻するわよ」


ママに急かされ
着いた席には


「これッ
全部、今朝作ったの?」


ウチでは
滅多にお目に掛ったコトがない
豪華な朝食ッ。


…なのに。

カノンくんのお茶碗は
伏せられたまま

使った形跡もなく…。


「母さんの心遣いを
無駄にするなんて

カノンも
いい度胸してるよな」


なんてッ

他人事みたいに
セイが私の正面の席に
着いているけれどッ。


…セイが
辛く当たったりしなければ

カノンくんだって
ちゃんと
ママの作った朝食を
食べてくれて

ママだって
”歓迎の空振り”を
食わされるコトは
なかったかと思いますッ。