「お前って本当に
溺れながら
水の中で笑えるんだな」
ってッ!!!!!!!!
「笑ってなんか
いませんからッッ!!!!」
私は真剣に
助けを求めていたと
ゆ〜のにッ!!!!!!!
「溺れながら笑う人間なんて
いるワケないでしょうッ」
私の反論にも
ココにいたな、と
セイのその目が
言っていてッッ!!!!!
「だいたいねッ!
自分の腕の中から
水の中に落ちたらッ
フツーは
慌てて引き上げようと
するモノでしょうがッ!!!」
何故、助けようとせずに
見てるかなッ!?
バコーンッ!
「……」
私が振り回した
湯置けが
運がいいのか悪いのか
セイのアタマに
見事に
クリーンヒットしたのを
ゴングに
ドタン、バタン、と
狭いバスルームで
取っ組み合いのケンカが
始まったッ。
「絶対に
お前をスミズミまで
キレイに洗ってやるからなッ」
「……」
犬の美容室で
暴れるイヌって
恐らくこんな気分
なんだろうッ。
屈したら終わりだ、と
甘いムードも
どこへやらッ
「くのおおおおおおお」
「うおおおおおおッ」
お互いのアタマを
泡だらけにしてッ。
ザンバッ、ザンバ、と
水を掛けあっていた。
ドンドンドン!
「!?」
ドンドンドン!
「トーコ!
ちょっとここを開けなさい!」
「ママッ!?」