「とにかくッ!
セイはココに隠れてて!」


何とか出来るとは
思えないけれど

何とか
誤魔化してみるしかないッ。


のにッ!


「俺が出る」

なんてッ!!!


「俺がココにいるって事実は

母さんには
すでにカノンの口から
ご注進に及んでて

バレバレだろうしな」


「そんなッ!」

まさかッ!


「ねえ、トーコ!?」

ドンドンドン!


…ママは知っていて

カノンくんの下着のコトに
かこつけて

確かめに?


「…そんな告げ口なんて
するような子じゃ
ないと思っていたのに…!」


私は
カノンくんの裏切り行為と
自分の置かれている立場に

足がカクカク、と震えてきた。


「とにかく
お前はココにいろ」


セイは
バスルームのドアを開けて

脱衣カゴの中から
見慣れない衣類を
取り出してくる。


「…それ、カノンくんの…?」

中学生にしては
オシャレなボクサータイプの
白いパンツと

タンクトップを

泡だらけになっていた
バスタブの中に

ザブン、っと
ザッパに浸けると


「セッ、セイッ!?」


焦る私を尻目に

満面に悪魔の微笑みを
湛えながら

バスルームのドアを閉めて
ひとり、出ていこうと
するではないかッ!!!


「ちょっとッ、それ
どうする気なのッ!?」


腕にしがみつく私に
構うコトもなく


「母さん。これ」

セイってばッ

躊躇もなく
洗面所のドアを
開けていてッッ!!!