「あらッ。
セイも中にいたの!?」
ママが
セイの姿を見て驚いたッ。
「カノンってば
自分で洗うって
主張してる割には
洗ってる手が
あんまりギコチナイから」
見るに見かねて
ここでアイツの下着を
洗ってやってたんだけど」
セイが
動揺ひとつ見せずに
いつもの調子で
クサい小芝居を始めてますッ。
「オトコの俺が洗うのなら
恥ずかしくもないらしい」
かわいいよね、って
セイが濡れて
シャンプーの泡だらけの
カノンくんの下着を
ママに見せるッ。
…カノンくんのコトを
”かわいい”なんて
ココロにもないコトをッ
一体、どの口が
言っているんでしょうかッ。
「こうしてヒトが
親切心で
やってるコトなのに
トーコなんかさ
早く出ていけ、と
シャンプーを
掛けてきたりして
凶暴ったらないよな」
ってッ。
おいッ!
何ですかッ。
その設定はッッ!!!!!
「あら、まあ。可哀そうに」
ママも
セイの言うコトを鵜呑みして
セイの髪から
キラキラと流れ落ちる滴を
タオルで丁寧に
拭き取っていたりしてッ。
「風邪をひかないうちに
お風呂に入りなさい。
トーコもいつまでも
お風呂を独占するのは
やめなさいね」
ってッ!
私の方が
どう見てもずぶ濡れ
なんですけどッ。
そのあまりな理不尽さに
ナミダが出ますッ。