本気ッ♂003


「ケーキを食べずに
待っていてくれていたのに

申し訳なかったね」


外で食べて帰ってきたパパが
お風呂から上がってきて
冷えたビールで喉を潤しながら

リビングで
ロールケーキを食べる
私とセイに

やさしい笑みを送ってくる。


リビングのソファーで
寛ぐパパの傍には

切り分けたロールケーキを
ママといっしょに
頬張るカノンくんッ。


「……」

…確かに

ダイニングには
4つのイスしか
なかったけれどッ。

私かセイの部屋から
イスを運んでくれば
済むコトだったのに。


パパが遠慮して

リビングのソファーに
座ったモノだから。


成り行き上

ダイニングにはセイと私。

リビングにはパパとママと
カノンくんッ。

ふた手に分かれて
同じケーキを
味わうコトとなった。


…パパが
ケーキを辞退したから
4分割になったけど。

カノンくんが私に
ケーキを譲る様子もなく。


「……」

そりゃあ。

確かに
いくら何でもケーキの半分を
独占しようなんて
図々しいとは思うけどッ。


…ちょっぴり
期待しちゃってた分

ちょっと落胆ッ。