「あの学校。

いろんな意味で
アタマがおかしいヤツが
揃ってるから」


日本屈指の
超・進学校である
自分の母校を

辛口に一刀両断すると


優等生らしく正座をして

ママが切り分けた
ロールケーキを食べていた
カノンくんを

凝視しながら


「ロールケーキに緑茶なんて
神経を疑うよなッ」


…セイが
また暴言を吐いたッ。


「…セイって本当に」

どこまでもオトナゲないッ。


「言い掛けたコトバを
何故途中で止める?」


なんて

…セイってば、地獄耳ッ。


「”セイって本当に”の
続きは!?」

「……」


…今日のセイは
本当に扱いづらいぞッ。


「何て続けるつもり
だったんだッ!!」


…声のトーンを
若干抑えている分

より一層
その目ヂカラが際立っているッ。


ここはッ。

何とか誤魔化して
回避せねばッ!!!!!


追い込まれた私は


「…こんなに美味しい
ロールケーキを
買ってきてくれるなんて

本当にやさしいな〜。

愛を感じるな〜」


なんてッ。


感情もない

いつもだったら
歯の浮きそうなセリフッ。


それは

単なるその場しのぎの
逃げ口上に
過ぎなかったのに。


「…そうか」

えッ。


「……」

私のセリフを真に受けて

あのセイが
嬉しそうにハニかんだ…。