ピンクのラブレターの
絶好の隠し場所を
思いついて
私はゴキゲンで
夕食の席に着く。
「セイもカノンくんも
ふたりとも
ゴハンにしましょう」
「……」
「……」
リビングの
同じソファーに座っていた
ふたりが
ママの問い掛けに
無言で
同時に振り返って。
…何をふたりで
話し込んでいたのか。
その目が恐いぞッ。
「…手を洗ってきます」
カノンくんが
ニッコリと笑顔を作って
洗面所に行くのを確認して
セイがゆっくりと腰を上げ
食卓に近づいてきた。
「…どうしてカノンの席が
トーコの隣りに
用意されてるんだッ」
「えッ?」
今日はちょっぴり
遅くなると言っていた
パパの席に
カノンくんの為の
お客様用のお茶碗とお箸が
セットされているのを見て
セイの眉間にシワが寄るッ。
「あ、ママッ。
おみそ汁なら
私がよそうから!」
何故か必要以上に
カノンくんが
私に近づくのを警戒する
セイを
うっとおしく思いながら
私はママのお手伝いに
キッチンに立った。
「…ママッ。
お願いだから
汚さないよう気をつけてね!」
キッチンで
てんぷらをあげていたママに
私はそっと耳打ちするッ。
「大丈夫よ。
ビニール袋に包んだから」
ママが自分のエプロンの
ポケットの中の”ソレ”を
無邪気に見せようとしてッ。
「わかったからッ」
私は”ソレ”を
ママのポケットに押し返し
…セイの様子を
横目でそっと確認したッ。
セイは
カノンくんの椅子を
ガタガタと動かしていて。
「バレてないッ」
私は胸を撫で下ろす。