…たかが
中学生のカノンくんの
同居くらいで
ここまで嫉妬心を
露わにするセイに
オンナノコから
ラブレターを貰ったなんて
知られたら…。
「ぶるッ」
あのかわいい
フクフクホッペの少女の
悲劇を想像して
身震いしてしまうッ。
「トーコの大事なお手紙は
ちゃんと
ママが死守するから」
ど〜んと大船に乗った気で
いなさい、って
ママが私にだけ見えるように
そっとピースサインを
してくれたけどッ。
「……」
フクフクホッペの少女の
ピンクのレターは
ママのポケットの中で
ビニール袋に包まれて
ドキドキしてるに
違いなかった。
「何か、僕
手伝いましょうか?」
「!!!!!!」
いつの間にか
洗面所から戻ってきた
カノンくんが
ダイニングから
こっちを見ているッ。
「ああ、大丈夫だから。
座っててッ」
と言われても
あのセイの傍に
またふたりっきりは
可哀そうだよね。
私がおみそ汁をよそって
食卓に行くと
案の定
セイの傍で立たされんぼの
カノンくんがいてッ。
「あ、カノンくんは
そこの席に座ってね」
思わず
カノンくんに同情したッ。
オトナゲないッ。
オトナゲないぞッ、セイ。
そう思っても
ギラギラとした目で
不機嫌さを
前面に押し出している
セイに
そんな注意が出来る程
私は
おバカではありませんッ。
…カノンくんの実家では
あんなにカノンくんに
理解を示していたクセに。
どうして舞台が
自分の家になっただけで
こうも態度が違うのかッ。
…もしかしてッ。