私が学校から
帰ってくるまでの間に
ふたりの間で
何かあったのかッ。
「……」
そっぽを向いていた
セイの顔をチラミしてから
「……」
カノンくんの顔に
視線を向けると
カノンくんと目が合ってッ。
「ふッ」
カノンくんに笑われるッ。
「何がおかしいッ!」
ってッ。
どうして
セイが怒るのかッ。
ここまでくると
クリ唐モンモンの
恐い団体の構成員のインネンと
変わりませんッ。
「…失礼」
長い緊張に
耐えられなかった
モノですから、って
言い訳は
可愛いけれどッ。
カノンくんッ
悪いコトは言いませんから
その挑戦的な目は
およしなさいッ。
バチバチと
火花が散るその中を
「は〜い。
アツアツのうちにどうぞ」
ママが
あげたてのてんぷらを
持ってきてッ。
「あ、ごめん」
同じエビを
お箸で摘まんでしまった
私とカノンくんに
セイという
油に火がついたッ。
「てんぷらを取るときは
取っていいか
俺に確認してから取れッ」
…もしもしもしッ。
ほら見てよッ。
セイが意地悪いうから
カノンくんってば
てんぷらの大皿には
手を出せなく
なったじゃないッ。
「……」
私は食器棚から
おおきめのお皿を出してきて
菜箸でカノンくんの為に
てんぷらを取り分けるッ。