「あ、お皿はそのまま
片づけなくていいのよ」
「いえ。お世話に
なっているんですから…」
自分の食べたモノを
自分で片づけようとする
出来のいい
他所さまのお子さまに
「自分の家だと思って
のんびりしてていいのよ」
あのママが戸惑っていたッ。
「他の人間が
まだ食ってる横で
ガチャガチャと
片づけなんて始めるな!!」
俺が食べ終わるまで
座ってろ、と
フォークで
煮物のお椀を引き寄せながら
セイがエラソーに
カノンくんを
一喝しているけれどッ。
「……」
行儀の悪いヤツから
自分の非常識さを
指摘される程
悔しいモノはないッ。
「…失礼しました」
だけど
カノンくんは
オトナだったッ。
セイのインネンを
サラリと受け流して
「マユミさん。
お手伝いします」
優等生ぶりを発揮する
カノンくんに
「…座ってろ!!!」
…ママのコトを
”マユミさん”と呼ぶ
男子中学生に
セイがまたキレていたッ。
「母さんッ。
コイツには水道の水ッ」
「えッ。カノンくん。
お薬でも飲むの?」
…セイの意地悪を
好意的に曲解できる
ママの才能を尊敬しますッ。
「…何がおかしい?」
えッ。