「…”おねえさま”?」


お友達になってください?

「……」

これはッ。


もしや、もしやの

オンナノコからの
愛の告白かああああああ。


握らされたピンクの封筒には

思わせぶりな
赤いハートのシールッ。


開封するのも恐くなるくらい

ピュアな
乙女心のプレゼントッ。


「自分の部屋で
落ち着いて読もうッ」

うんッ、そうしよう、と

私は完全に
舞い上がっていてッ。


「トーコ。お前。
何を隠している?」

ぎくッ。

いつもと同じように
家に帰ってきたつもりが

早くも勘のいいセイに
怪しまれたッ。


「やだな〜、セイ。
もう帰ってきてたんだッ?」


人間、やましいコトがあると

必要以上に
笑顔になってしまうのは
どうしてなのかッ。


「あはッ」

「……」


…やな沈黙ッ。


「そうだ!

セイ、今日は
ケーキを買ってきてくれるって
約束だったよねッ」

私は話題をケーキにふって


「すぐに着替えてくるから!」

自分の部屋に
向かおうとしたのにッ。


バンッ!

セイの長い腕に
早くも進路を阻まれるッ。


「…トーコは余程

俺にボディチェックを
して欲しいと見えるな」


「……」

セイに
壁際に追い詰められて

ぷるぷるぷるッ。

私は必死で首を振るッ。


「そうか。
そんなに期待されているんなら
仕方ないな」

私をコトバで弄ぶ
セイの深い色の瞳が

すぐ私の目の前にあって

「……」

まさに
ヘビに睨まれたカエル状態ッ。


冷や汗だけが
だらだらと
額から落ちてきてッ。


もうダメだ、と
観念した瞬間ッ。


「…盛り上がっているトコロ
申し訳ないんですけど」


「!?」

おふたりさん。
通して貰えますか?、って

洗面所から出てきた
その人物の
凛とした立ち姿に

私のカラダは
さらに固まってしまうッ。


そこにいるハズのない

いてはおかしいその人物ッ。


どどどどどッ


「どうしてカノンくんが
ウチにいるのッ!?」