カノンくんは
冷ややかな目で
セイを睨み返していて。


「……」

少し見ない間に

カノンくんの背が
私の背を少しだけ
追い越していて

ますます
生意気さを増しているッ。


だけどッ。

確か数か月前までは
カノンくんって
すんごいセイの信奉者で

私を睨みつけるコトは
あっても

セイに対して
こんな挑戦的な態度を
露骨に見せる子では
なかったのにッ。


「あれッ」

カノンくんの短い髪が
濡れている。


…それに
このシャンプーの匂い。


「……」

もしかしてッ。


「カノンくんッ。

今、ウチのお風呂
入ってたのッ!?」


「…ずいぶん
ちいさいバスタブですよね。

こんなちいさいの
初めて入りましたよ」


肩をコキコキ鳴らしながら

カノンくんは踵を返して
リビングの方へ
歩き始めててッ。

憎たらしいッ!


「マンションでは
これが普通のサイズですッ」


「こんなちいさなバスタブじゃ

ウチの屋敷の風呂場を見て

セイ先輩とふたり
ハメを外したくなったのも
わかる気がしましたよ」


「!!!!!」

中学生のカノンくんの
さりげない嫌味に

私は耳まで赤くなるッ。


「カ、カノンくんッ。

その話ッ
パパやママの前では…!」


「ふふん」

カノンくんは
動揺を隠せない私を
軽く鼻で笑っててッ。


「知られたくない秘密を
握っているのは

お互いさまでしょ?」


カノンくんはひと言
そう言い置いて

リビングへと姿を消した。


「あら、カノンくん。
もうお風呂でてきたの?」

「ええ。いいお湯でした」


リビングから
ママとカノンくんの会話が
聴こえてきて。


「ママも公認で
我が家のお風呂に
入っていたんだ…?」

だけど
どうしてこんなコトに
なっているんだかッ。


「しばらく
ウチで世話するんだと」

「えッ」


「学生寮の排水管が壊れて

カノンの部屋が
使えなくなったらしくってさ。

母さんがそれならウチで、と
ふたつ返事で
預かってきたらしいい」


ってッ!!!!!!!


「はッ排水管って
どれぐらいで治るモノなのッ」


「天井が水でやられてて
工事とかも
かなり日数が掛るらしい」


セイは淡々と私の問いに
答えてはいるけれどッ。


「セイ。もしかして
追い出したいとか思ってる?」


「…トーコのくせに
察しがいいじゃないか」


そう言ったセイの目の奥が
笑ってなくて。


「……」


早くも何かが起こりそうな
波乱の予感に


ピンクのラブレターの
衝撃すらも消えていく…。





熱愛ラッシュ!

本気ッ♂001

≪〜完〜≫


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