自販機を間に挟んで
ふたり
グルグルグル、とッ。


「その電車
待ってくださいッッ!!!」


私は脚力にモノを言わせ

おばあさんを
強引に振り切って

閉まり掛けた電車のドアに
足を掛けようとするッ

モノのッッ!


「早まっちゃダメえええッ」

「うおッ!?」


おばあさんにコートを掴まれ

私は危うく
躓き掛けるッ!!!


「あのッ…ッ!?」


何をするんですか、と
私が振り向いた瞬間


ずぶ濡れのおばあさんが

ポロポロ、と
ナミダをこぼして。


「顔がブサイクくらいで
この世を儚むなんて

ナンセンですよ…ッ!」


「はいッ!?」

ワケのわからない戯れ言を
訴えてきたりするからッ。


「あッ!!!!!」

一瞬
気を取られているうちに


無残にも

私という客を
ホームに取りこぼしたまま

電車は
駅を後にしていった…。



…ウッソお。