…おばあさんが手にしている
その紙に
コピーされている私の顔は

確かにイケてないかも
しれませんがッ。


だからと言って

どうして私が
この世を儚んでいるなんて

思い込んだり
出来るのでしょうかッ。


「アナタ
悩んでいるのではなくて?」


「容姿に関しては
悩んでもいませんしッ

ましてや
死にたいと思ったコトなど
ありませんッ」


私の返答に

おばあさんは
納得がいかないご様子でッ

何度も何度も
手にしていたコピーと
私の顔を見比べているッ。


「…【落ち込んでいます。
励ましてやってください】と
書いた箱に

このビラが
たくさん入っていたから

私はてっきり…」


おばあさんがそう言って

私に差し出してきた
コピー紙は

駅に散乱していたにしては
確かにしっかりしていて

それがウソでも
作り話でもないって

すぐに分かった。


「駅前のあちこちに
置いてあったけど」

お友達やご家族が
心配して置いたんじゃ
ないのかしら、って

おばあさんが
やさしく笑ってる。


「…あははは」

そんなんじゃ
ないんですけどッ。


このヒトのよさそうな
おばあさんは

自殺するかもしれないと
心配して

この雨の中

見知らぬオンナノコの為に
電車を飛び出して
来たのだろうか。