「神様はいつも
アナタのお傍にいますから」
「え」
「こうやって
ここで逢えたのも
きっと神様のお導き」
アナタの為に
祈らせてください、って!!
おばあさんッ。
黒いショールを肌蹴させ
ごっつい毛糸の
カーディガンの
懐から出してきた
その怪しげな
宗教のパンフレットは
何ですかッッ。
「クスクスクス」
困惑する私の背後で
雨音に混じって聞こえてくる
その失笑ッ。
「……」
ふくふくとしたホッペが
雨粒を弾きながら
私のコトを嘲っていて。
「…いい加減に
しなさいよねッ」
「…何がですか?」
少女は
どこまで
しらばっくれる気
なのだろうか。
反抗的な目を
私に向けてくる。
…ここはやはり年上として
このコナマイキな中学生に
ガツン、と
言ってやるべきだろうッ。
「……」
「……」
…とはいえッ。
何をどこから
どうやって
このコナマイキな少女の
鼻っ面を折ってやれば
いいんだかッ。
「……」
「……」
おばあさんの唱える
怪しい祈りのコトバと
いっこうに
やむ気配のない雨の中
コトバもないふたりッ。