本気ッ♂021


「あの、みんなウソばっか
って…?」

「…う」


「誰も信じられない、って
…あの?」

「うッ、う…うッ」


「……」

…困ったッ。


私が話しかけようと
すればする程

少女のしゃくりあげる声が
ただ、おおきくなるばかりで。

さっきまで
あんなにキッパリと
開き直っていたのに。


駅のホーム。

横殴りの雨にも関わらず
傘も差さずに

泣きじゃくる少女と

その傍らで
為す術もなく佇む私ッ。


特急が止まらない
ちいさなこの駅は

ただでさえ
利用者が少なくて。


次の電車が来るまで

他の利用客はみんなは
ガラス張りの待ち合い所に
避難して

雨風をしのいでいると
言うのに。


私達ときたら

…完璧に
悪目立ちしているッ。


「う…うッ。う」

「……」

こういうとき
どうすればいいモノなのか。


映画やらドラマなら
雨に濡れながら

少女の激白を

おおきなココロを持って
受け止めるのが
セオリーなんだろうけれど。


「……」

ああッ。

ガラスに映る姿も
哀しいくらい
絵にならないふたりでッ。


「ウソつき…ッ。
みんな嫌いなんだからッ」


…はいはい。

それは
もう分かりましたからッ。


「はああああ」

私にいったい
どうしろと言うんですかッ。


…何だか
面倒臭くなってきた。