「……」
こんな可愛いティッシュ。
無駄遣いなんてしたら
勿体ない、なんて
貧乏くさいコト言ったら
それこそ、もっと
嫌われちゃいそうだよね…。
私が
ティッシュに手を出すコトを
一瞬、躊躇していると
「大丈夫ですよ。
ティッシュに細工なんて
していないですから」
「……」
さすがに
そんな疑いなんて
持っても
いませんでしたけどッ。
この少女の
ヒネた攻撃性から言えば
まさに”親切”こそ
もっとも警戒しなければ
ならないモノで。
「…自分で鼻をかんだ
ティッシュを見つめてて
楽しいですか?」
…手厳しいッ。
「あ、あはッ」
「…もっとも私のコトなんて
信用できなくて
当然ですけどねッ」
「……」
「いいんですッ。
わかってますからッ」
…わかってる、と言いながら
「私もアナタのコトなんて
信用してせんからッ」
お互いさまです、なんてッ。
よくもまあ
あれだけのコトをしておいて
被害者然としたうるんだ瞳で
私を責めるコトが
できますねッ。
「私の友達もみんな
アナタのコト
ヒトのよさそうな眉毛に
惑わされちゃいけない、って
言ってました」
ってッ!
何かッ、今ッ。
プライドと容姿。
さりげなく一撃で二度
傷つけられた気が
しましたがッッ。
「その程度の容姿で
あの程度の学校で
あのカノンくんを
自分のモノにするなんて
相当のやり手に
違いないって…」
「…あのねえ。
そもそもカノンくんは
ウチの親戚の子で…!」
「でも血は繋がって
ないんですよね?」
「…だッ誰がそんなコトッ」