…何かやりにくいな。
「……」
「……」
もともと
まともに
会話もしたコトがない
相手だから。
これが
彼女の通常のパターンなのか
それとも
気まずさからくる
照れ隠し的な反応なのか
非常に
判断に困るトコロでッ。
「……」
「……」
降りしきる雨の中
会話もなく…。
電車の中にセイを
置き去りにしたコトを
ちょっぴり後悔した。
「…謝りにきたんですか?
それとも
自分を正当化する為の
釈明にでも?」
…やわらかそうな
見た目とは正反対に
チョイスするコトバが
イチイチどこかカタイのが
とってもミスマッチで。
可愛くないッ。
…カノンくんの痴漢騒動の
真相を聞き出したいのは
ヤマヤマではあったけど
「え、と。あのね。
貰ったお手紙のコト
なんだけど」
自分のペースで
話を進める為にも
まずはこの問題を
クリアにしておかなくてはッ。
なのにッ!
「あの手紙のコトなら
もういいです」
忘れてください、なんてッ。
思わず
肩すかしを食らわされッ。
身も凍りそうな寒さのせいか
少女から
ホカホカの湯気が
立ち上っていて。
セイがこの場に居たら
「肉まんが蒸せたか」とか
言いそうだ…。
「もう迷惑ですから
私に構わないでください」