「…こっち側に座れば?」
「いいよ。あとひと駅だし。
お客さんも
たくさん乗ってきたもん」
吊革につかまりながら
セイに笑顔を近づける。
もし、このとき
セイのコトバに従って
素直に座っていれば
私はこの後の悲劇に
巻き込まれずに済んだかも
しれなかったのに。
「あれ?」
電車の窓の向こう。
うっすらと
見覚えのある
白いシルエットを
私は目にしてしまう。
「…こんなトコロに
いるワケないよね」
私はそれを
見間違いであるコトを
確認すべく
吊革に掴まったまま
雨が吹きつけてくる
電車のドアの方に
少しだけ身を乗り出し
カラダを傾けたハズだった。
のにッ!!!!
「…うそッ!
何であの子が
こんなトコロにいるのッ!?」
発車ベルが鳴り響く中
私は反射的に
電車から飛び降りていて。
「トーコッ!?」
私の名を呼ぶセイを
乗せたまま
構わず電車は駅を発車する。
「……」
雨を避けるように
みんなが階段へと
急ぎ足で移動する中
ホームのベンチに座って
うつむいているその姿に
私は慎重に
近づいて行った。
「…どうして
カノンくんといっしょに
いるハズのアナタが
こんなトコロにいるの?」
私の問い掛けに
ずぶ濡れの
フクフクホッペの少女が
静かに顔をあげた…。
熱愛ラッシュ!
本気ッ♂019
≪〜完〜≫
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